■現在に至るまで

<~11歳>

服飾メーカーの社長父十六沢 晶(アキラ)と、その専属デザイナーの十六沢 椿姫(ツバキ)と、の間に生まれた一人娘で箱入りお嬢様。

多忙な両親だったためほベビーシッター育ち、エスカレーター式の私立校に通っていた。

仕事柄家になかなかいられない晶は、少しばかりの時間ながらも杏珠にスキンシップや愛情表現の仕方を教え、惜しみなく与えた。

杏珠のフレンドリーさ、パーソナルスペースの狭さは完全に父親譲りである。
それに対して母親は家にいる時間も仕事に当て、杏珠にはほとんど構うことも褒めることもなかった。

杏珠は学校に通いながら、晶や周りに勧められた多くの習い事をそつなくこなしていた。

褒めてくれる晶も勿論理由にあったが、椿姫に自分を見てほしい、という願望の表れでもあった。

(今も生活に困らない程度の英会話、ピアノ演奏ができる)


<12歳>
椿姫のプロデュースするショーのモデルが急に出られなくなり、代役として杏珠に椿姫が頼み込まれモデルデビュー
全く自分に対して興味も視線も向けなかった椿姫が頼りにしてくれたことがなによりも嬉しく、引き受けることに。

そのままモデルとして活動し、中学校は家庭教師でテストだけ受ける、という形で平行。

椿姫の杏珠に対するそれは椿姫の夢の駒とも思われた。

どう思われてようがどうでもいい。

駒でもなんでもいいからそばにいたい。
その一心で、時間でも何でも自分にあるものは全部捧げた。

<14歳>
美術の予備校へ、椿姫の臨時講義の手伝いのデッサンモデルとして訪れる。
いつもと違いすぎる環境や、デッサンをする人たちの視線に耐え切れず、一度投げ出して逃げてしまう。
その時に、デッサンをしていた一人の少年が、マジックのように出した飴を渡しそれに驚いたとき、「その顔の方がいい」と少年は笑った。
そのおかげでデッサンモデルを乗り切り、少年には名前も聞けないまま手伝いを終える。

杏珠に特に大きな自覚は無かったが、初恋に当たるものだった。


<15歳>
母の一世一代の発表の寸前に起きた火事で父親を失い、顔に火傷を負う。ショーは中止となり、椿姫はデザイナー、杏珠はモデル生命を絶たれる。
やけどの傷自体は回復し、中学に復帰。

しかし火傷の深い痕は消えず、母の再婚相手や同級生に避けられ、酷い デッサンの時の少年には偶然再会し、「きもちわるい」と言われ、初めての失恋とその言葉に深いショックを受けてしまう。
ときには嫌がらせにあった。

中学生活をほとんど外で過ごしたせいで知り合いがほとんどいなかったことも起因し、友達を作れず終いで卒業する。

ショーが中止になったことで、信用も仕事もほとんど失って落胆し精神疾患を患う寸前だった椿姫に、

「醜いお前はもう使えない」と言われ、杏珠は完全にふさぎ込んでしまう。
本人にはっきりとした自覚は無いが、幻覚の異能が覚醒。
後日、自分の姿が別のものに見える、という現象に一人悩むことになる。


<16歳~> 
高校入学を機に家を出て父の遺産で一人暮らしを始める。

幻覚で顔を隠すことで人付き合いができるようになり、

同級生の『青戸玄一郎』さん、先輩の『一霧廻』さん、『ヒラ』さんと特に仲良くなり、楽しく高校生活を過ごすうちに本来の明るい性格を取り戻していった。


<19歳~>
大学生。公立大学の英文科に入学。

異能の存在を改めて知り、幻覚によるなりすましを利用して調べるようになる。

21歳の時、偶然見かけた異捜の『佐野佑典』さんになりすまし、ほかの捜査課の人間から情報を集めていた際に、本人と鉢合わせたことがある

<22歳>

異能捜査課の存在に深く興味を持ち、警視庁に就職。
情報通信部門長の雷桜院雅治さんに直接掛け合い、異能捜査課と同時に雷桜院班》に所属。

<24、5歳>
雷桜院班として活動